ワンちゃん・ネコちゃんと暮らしている方はもちろん、多くの方が「避妊去勢手術」という言葉を耳にしたことがあると思います。
他にも、不妊手術、中性化手術などと様々な呼ばれ方をしますが、基本的には同じ内容の手術です。一般的には、女の子が避妊手術、男の子が去勢手術と呼ばれています。
今回はワンちゃん・ネコちゃんの避妊去勢手術について、
またなぜその手術をするのかをお伝えしたいと思います。
◉女の子の場合
女の子の避妊手術のメリットは、予期せぬ妊娠を防ぐこと、発情に伴う問題行動の抑制、また、乳腺癌の発生率低下や子宮・卵巣の病気(腫瘍や子宮蓄膿症など)の予防が挙げられます。
いくつかの手術方法がありますが、当院では動物の年齢や体の状態によって、
「卵巣摘出手術」もしくは「卵巣子宮摘出手術」の両者を使い分けて実施しています。
一方、避妊手術のデメリットは、本来生殖活動に消費するためのエネルギーが蓄えられたまま、消費エネルギーが減少するため肥満になりやすくなることが挙げられますが、摂取カロリーをある程度コントロールすることで対処することが出来ます。
手術の時期は、一般的には初回発情が来る前、生後6ヶ月を過ぎた時期が勧められています。
ワンちゃんの場合、乳腺腫瘍は性ホルモンの影響を受けることで発症しやすくなるため、初回発情前に避妊手術を行うと乳腺癌の発生率は約1/200に、2回目の発情前では約1/12に、その後は1/4に低下すると報告されています。
ネコちゃんも6ヶ月齢で避妊手術を行った場合、乳腺癌の発生率が1/7に低下すると報告されています。
よって手術をお考えの場合は、初回発情前に実施するメリットが大きいと言えます。
◉男の子の場合
男の子は去勢手術を行うことにより、女の子と同様に予期せぬ繁殖を抑制すること、また、オスの激しい気性を抑えマーキングを軽減することができます。ホルモンに依存する病気(会陰ヘルニア、前立腺肥大、精巣腫瘍・肛門周囲腺腫)の発生率を低下させるというメリットもあります。
また、外に行くネコちゃんではケンカが減るためケガをすることが減り、猫エイズ(FIV)や猫白血病ウイルス感染症(FeLV)などの伝染病に罹る危険性を減らすことができるのは大きなメリットです。
手術方法は、ワンちゃんの場合には陰嚢(いんのう)のすぐ前方の皮膚を、ネコちゃんの場合には陰嚢を切開して精巣のみ摘出します。
デメリットは避妊手術と同様に太りやすくなることですが、食事量のコントロールで対応することが出来ます。手術時期はメスより若干遅く、8-10ヶ月で実施することが多いです。
手術はかわいそう?
「手術はかわいそうなので・・・」とお考えの方もいらっしゃいます。
その場合に、私はいつもこのようにお伝えしています。
「私の知っている獣医で、自分のワンちゃんやネコちゃんの避妊去勢手術をしない獣医は一人もいません。」
それはなぜでしょうか?
もちろん、手術をしていないけど病気にならないこともあれば、手術をすることですべての病気が予防できるということでもありません。
しかし獣医さんは皆、避妊去勢手術をしていなかったことで病気になってしまった動物をたくさん診ています。時には命を落としてしまう子もいますし、何度も手術をしなければならなくなった子も診ています。そのような経験から、避妊去勢手術をお勧めする獣医さんがほとんどだと思います。
手術方法や、手術時期については様々な考え方があります。
詳しくはかかりつけの獣医さんとご相談の上、手術を検討していただければと思います。
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寄稿:本庄犬猫病院 院長/山本 慎也 先生 <獣医師・獣医医学博士>
▼本庄犬猫病院▼(ほんじょういぬねこびょういん)
住所 :〒367-0043 埼玉県本庄市緑2-2-9 ※南大通り沿い、ドコモショップさん向かい
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診療対象動物:犬および猫
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