<動物病院の先生によるペットとの暮らしに役立つ“正しい”アドバイス>【Vol.3】ワクチン接種が3年に1回でいいって本当?

 

春になると市町村からワンちゃんへ「狂犬病予防注射のお知らせ」が届くと思います。

様々な病気の予防が始まるこの季節、「ワクチンって打たないといけないの?」という質問をよく受けますが、今回はこのワクチンについてお話したいと思います。

 

ワクチンは大きく分けると2つあり、「狂犬病ワクチン」と「混合ワクチン」です。

「狂犬病ワクチン」は国の法律(狂犬病予防法)で定められているワクチンであり、日本国内のワンちゃんは1年に1回の接種が義務付けられています。法律で義務付けられているので、未接種は法律違反となり、悪質な場合には逮捕されることもあります。

 一方、「混合ワクチン」とは、ワンちゃんは通常4種~11種、ネコちゃんは35種の複数の感染症を予防するために接種するワクチンであり、法律の定めはありません。しかし身近に存在する感染症を予防するために推奨されているワクチンです。

このワクチンの接種間隔について現在、ネット等を中心に情報が錯そうしており、混乱されている方も多く見受けられるので、これについて少し詳しくお話したいと思います。

 

★ワクチンとは

ワクチンとは、病原性を弱めたまたは無くした病原体を体内へ接種することで、その病原体に対する「免疫」を獲得させるものです。

生後すぐは、母親からもらった「移行抗体」により子供は病原体から守られますが、この「移行抗体」は経時的に減少し、生後12週前後で感染を予防できるレベルを下回ってきます。感染予防レベルを下回らないうちにワクチンを接種して免疫をつけさせたいところですが、この「移行抗体」はワクチンによる免疫獲得を阻害する働きもあるため、ワクチン接種時期が早すぎても十分な効果が得られません。

また、「移行抗体」の減少には個体差もあるので、通常初年度のワクチンは生後6週以降に34週間隔で2~3回の複数回接種が必要です。その後は、1年後に追加接種(ブースター効果)をすることで、免疫を強化することが出来ます。

 

★ワクチネーションプログラム(ワクチン接種計画)

では、1年後の追加接種以降はどのようにワクチンを接種したらよいのでしょうか?

実は、この正解は一つではありません。現在、小動物のワクチネーションプログラムに関するガイドラインとしては、WSAVA(世界小動物獣医師会)のグループが作成したものが有名です。

  ◆WSAVA(世界小動物獣医師会)「犬と猫のワクチネーションガイドライン」↓  

http://www.wsava.org/WSAVA/media/PDF_old/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf

このガイドラインには、成犬・成猫のワクチン接種に関しては「3年に1回」を推奨するという記載があります。

これにより、ネットを中心に「3年に1回で十分」「毎年接種するのは間違い」という誤った情報が拡散しているようです。

 なぜ間違いかというと、WSAVAのガイドラインでもしっかり記載がありますが、ワクチネーションプログラムは、その国の状況や個々の生活環境等を考慮して決めるべきものです。

そのため、すべてのワンちゃんやネコちゃんに同じプログラムを当てはめることは適切ではないのです。 

3年に1」を推奨しているのは「コアワクチン」(感染により生命を脅かす恐れのある感染症を予防するワクチン)。外へ出ない子も含めて、すべての動物への接種が推奨されています。 

一方、「ノンコアワクチン」(感染リスクがあれば接種するワクチン)については、「1年に1」の接種が推奨されています。

「ノンコアワクチン」で予防できる病気には、ワンちゃんでは「パラインフルエンザ」や「レプトスピラ感染症」が挙げられます。「パラインフルエンザ」は不特定多数のワンちゃんが集まる場所、トリミングサロン、ペットホテル、ドッグラン、お散歩でワンちゃんが集まる公園等に行く場合には接種が推奨されます。

「レプトスピラ」はネズミが媒介しますので、山や川などのアウトドアに行く場合、屋外飼育などの場合に接種の必要性があります。

ネコちゃんの場合には、「白血病ウイルス」や「クラミジア感染症」などがノンコアワクチンで予防できるものに分類されますが、屋外飼育や外出して他の猫と接触する可能性がある場合、また多頭飼育などで接種の必要性があります。

このように、ノンコアワクチンが必要なケースは意外と多いのです。 

つまり、「3年に1回で十分」のケースもあるし、「毎年接種が必要」というケースもあり、ケースバイケース、その子の生活スタイルや環境によって個々に考えていくべきものなのです。

ですから、どんな場合でも「3年に1回で十分」「毎年接種するのは間違い」という認識は、すべてに当てはまらないという意味で不適切ということになります。

また、完全室内で一切外出することがない場合、ワクチン接種により体調を崩したり、アレルギー症状が出たことがある場合などでは、ワクチン接種間隔を空けた方がいい場合もありますし、時には、ワクチンを接種しない選択が必要な場合もあります。 

 

ワクチンは、「健康体に注射をする」ということと、「効果が目に見えない」という点で、病気の治療とは異なった側面があります。前述したような、一部のネット情報等をもとに誤った判断をすると、ついつい「打たなくても大丈夫だ」と考えがちですが、現状では感染症リスクは決して低いとは言えません。飼い主さんは冷静に判断をしていかなければなりません。

ワクチネーションプログラムは、「打たないリスク」と「打つリスク」を比較しながら、オーダーメイドで考えていくことが重要ですね。

生活環境や持病の有無、アレルギー体質かどうかを含めて、かかりつけの獣医さんと相談しながら適切なワクチネーションプログラムを考えてあげましょう。

 

 

*******************************************

寄稿:本庄犬猫病院 院長/山本 慎也 先生 <獣医師・獣医医学博士>
▼本庄犬猫病院▼(ほんじょういぬねこびょういん)

住所 :〒367-0043 埼玉県本庄市緑2-2-9 ※南大通り沿い​、ドコモショップさん向かい

電話番号:0495-22-1122(にゃんにゃん ワンワンにゃんにゃん)

Webサイト▶︎ https://www.honjoah.com/

当日対応OK/往診対応あり/入院設備あり/マイクロチップ対応/駐車場5台あり

診療対象動物:犬および猫
各種病気の診断治療、各種予防注射、避妊・去勢手術、各種手術、往診、ペットホテル

 

関連記事

  1. <動物病院の先生によるペットとの暮らしに役立つ“正しい”アド…

  2. <動物病院の先生によるペットとの暮らしに役立つ“正しい”アド…

  3. <動物病院の先生によるペットとの暮らしに役立つ“正しい”アド…

  4. <動物病院の先生によるペットとの暮らしに役立つ“正しい”アド…

  5. <動物病院の先生によるペットとの暮らしに役立つ“正しい”アド…

  6. <動物病院の先生によるペットとの暮らしに役立つ“正しい”アド…